親なきあとの準備は何から?今からできること
更新日:
はじめに
「自分たちがいなくなったあと、この子はどうなるんだろう」。障害のあるお子様を育てるお父様・お母様の多くが、いつか向き合う不安です。
親なきあとのじゅんびは、「暮らしの場」「お金」「見守ってくれる人」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。この記事では、それぞれに使えるしくみを、やさしくまとめました。
1. 暮らしの場
- 子どものうちから短期入所などを使い、「家以外で過ごす経験」を重ねておく
- 高校生のころから、グループホームや入所施設の見学を始める
- お父様・お母様が元気なうちに、お子様が新しい暮らしに慣れる時間をつくる
「親が倒れてから急に探す」のではなく、「親が元気なうちに少しずつ移る」ことが、お子様の安心につながります。
2. お金
障害基礎年金:20歳から受け取れる可能性があります。手続きには時間がかかるので、早めに調べておきます。
障害者扶養共済制度(しょうがい共済):都道府県や政令指定都市が行っている公的な制度です。保護者が毎月掛金をはらい、保護者が亡くなったときなどに、障害のあるお子様に一生涯、年金が支給されます(解説記事)。窓口は、お住まいの都道府県や市区町村です。入れるのは、保護者が65歳未満で、健康の条件を満たす場合です。早めに窓口で確かめておきましょう。
家族信託:信頼できる親族にお金の管理をまかせ、親が亡くなったあとも、お子様の生活費などを払いつづけるしくみです(解説)。ただし、施設との契約や暮らしの手続きはできないので、成年後見制度とあわせて考えることが多いです。設計には専門家の力が必要です。
遺言:だれに何を残すかを決めておきます。障害のあるお子様にお金を残すときは、管理の方法もあわせて考えることが大切です。
3. 見守ってくれる人
- 成年後見制度:判断がむずかしい方のお金の管理や契約を、後見人が手伝う制度です。お子様は18歳で成人になるので、そのあとの契約をどうするか、早めに考えておきましょう
- 相談支援専門員や、通っている施設の職員とのつながりを、今から大切にしておく
- きょうだいだけに負担がかからないよう、家族で話し合っておく
4. お子様のことを書き残す
お子様の好きなこと、苦手なこと、病気や薬、医療的ケアの方法、これまでの歩み。お父様・お母様の頭の中にあることを、ノートに書き残しておきましょう。サポートブックを少しくわしくしたものと考えると始めやすいです。
どこに相談すればいい?
- 市区町村の障害福祉の窓口、相談支援事業所
- 都道府県・政令市の障害者扶養共済制度の窓口
- 「親なきあと」の相談室など、同じ立場のご家族が運営する相談の場
親なきあとの相談先
親なきあとの相談は、話したい内容によって相談先を使いわけると、進めやすくなります。上の窓口のほかに、次のような場所もあります。
- 暮らしの場やサービスのこと:基幹相談支援センター(地域の相談の中心になる窓口です。名前や場所は市区町村によってちがいます)
- 後見のこと:成年後見の相談窓口。たとえば神戸市では、社会福祉協議会が「神戸市成年後見支援センター」を開いています
- 同じ立場の親の話を聞きたいとき:障害のある子の親が開いている相談の場や勉強会。たとえば、渡部伸さんが主宰する「親なきあと」相談室があります。市区町村のホームページに、親なきあとの講座の案内がのることもあります
民間の相談の場は、内容や費用がそれぞれちがいます。ここであげたのは一例で、あずけさき手帖がすすめるものではありません。まずは市区町村の窓口で「親なきあとの相談をしたい」と伝えると、地域の相談先を教えてもらえることがあります。
きょうだいに任せきりにしないために
親なきあとのことを考えると、「いずれはきょうだいに」と思うこともあるかもしれません。でも、きょうだいにも自分の人生があります。ぜんぶを任せてしまうと、大きな負担になることがあります。
- きょうだいの気持ちを、早めに聞いておく(関わりたいか、どこまでならできそうか)
- 暮らしの場・お金・見守る人を、親が元気なうちに決めておき、きょうだいの役わりを小さくしておく
- お子様のことを書き残したノートを、きょうだいとも共有しておく
- 後見人は、ご家族だけでなく、社会福祉士・司法書士・弁護士などの専門職や、法人がなることもある(だれにするかは家庭裁判所が決めます)
きょうだいには、「あなたにすべてを任せるつもりはないよ」と、言葉にして伝えてあげてください。きょうだいの気持ちについては、「きょうだい児の気持ちとサポート」でくわしくまとめています。
「親なきあと」をもっと知りたい方へ(PR)
親なきあとのじゅんびを、くわしく知りたい方におすすめの本です。
- 『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて[第2版]』(渡部伸 監修、自由国民社):使える制度やサービスを、まとめて知りたい方に
- 『まんがと図解でわかる障害のある子の将来のお金と生活』(渡部伸 著、自由国民社):お金と暮らしのことを、まんがでやさしく知りたい方に
- 『障害のある子が安心して暮らすために』(渡部伸 著、合同出版):暮らしの場や見守りのことを考えたい方に
障害のある方のための保険
ぜんち共済は、知的障害・発達障害・ダウン症・てんかんのある方とご家族のための保険を取りあつかう会社です。ふつうの保険に入りにくいと感じている方は、一度見てみてください。
※このサイトは、ぜんち共済から紹介料を受け取っていません。保険の内容は、公式サイトや相談窓口でご確認ください。
運営者から、ひとこと
学生のころ、障害のある方が通う作業所でボランティアをしていました。そこで、あるご家族から「わたしが死んだらどうしようと思って、夜中に泣いて目がさめてしまう」とうかがったことがあります。わたしは当時、お話を聞くことしかできませんでした。
親なきあとの不安は、ひとりで考えると、どんどん大きくなります。でも、使える制度や相談先を知るだけでも、少し気持ちが軽くなることがあります。この記事が、その小さな一歩になればうれしいです。
さいごに
親なきあとのじゅんびは、一度に全部しなくて大丈夫です。今日できる小さなことから、少しずつ始めてみてください。その一つが、お子様が安心して過ごせるあずけ先を見つけておくことです。
あずけさき手帖では、全国の短期入所や日中のあずかりを探せます。
※この記事は一般的な情報です。お金や契約のことは、専門家や窓口にご相談ください。