医療的ケア児は保育園・幼稚園に入れる?受け入れのしくみ
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はじめに
「たんの吸引があるから、保育園はむりだと言われた」「仕事にもどりたいけれど、入れる園が見つからない」。医療的ケアや重い障害のあるお子様を育てるお父様・お母様から、よく聞く声です。
以前とくらべると、保育園や幼稚園で医療的ケア児を受け入れるしくみは、少しずつ広がっています。この記事では、法律で決まっていること、園に看護師がいるしくみ、加配(先生を多くつけること)、相談の順番などを、やさしくまとめました。
法律で「受け入れて支える」ことが求められるようになった
2021年(令和3年)6月に「医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)」ができ、同じ年の9月に始まりました。
それまで、医療的ケア児への支援は、2016年の児童福祉法の改正で、自治体が体制を整えるよう「努める(努力義務)」とされていました。新しい法律では、国や自治体が支援を行うことが「責務(しなければならない役目)」になりました。
さらにこの法律では、保育所(保育園)や認定こども園の設置者、幼稚園をふくむ学校の設置者にも、そこに通う医療的ケア児に「適切な支援を行う責務」があると書かれています。そして、保育所などは看護師など(または、たんの吸引などができる保育士)を置くこと、学校は保護者の付きそいがなくても支援を受けられるように看護師などを置くことが求められています。
ただし、法律ができたからといって、すべての園がすぐに受け入れられるわけではありません。看護師が見つからない、設備がととのっていないなど、地域によって差が大きいのが今の状況です。
保育園での受け入れのしくみ
保育園に入るには、お父様・お母様のお仕事などで「保育が必要」と認められることが前提です。これは障害のないお子様と同じです。
医療的ケア児の受け入れについては、国の「医療的ケア児保育支援事業」というしくみがあります。自治体が保育園に看護師を置いたり、たんの吸引などができるよう保育士が研修を受けたりする費用を、国と自治体で支えるものです。どの園で受け入れるか、どんなケアまでできるかは、市区町村によってちがいます。「医療的ケア児を受け入れる園」を決めている市区町村もあります。
また、障害のあるお子様には、保育士を多めにつける「加配」というしくみがあります。加配の基準や、つくかどうかの判断も、市区町村ごとに決まっています。
集団での保育がむずかしいお子様には、保育士が自宅に来てくれる「居宅訪問型保育」を行っている市区町村もあります。たとえば横浜市では、医療的ケアが必要な原則0〜2歳のお子様を対象にしています。
幼稚園・認定こども園での受け入れ
幼稚園は「学校」にあたるため、医療的ケア児支援法では学校の設置者の責務の対象になります。文部科学省には、幼稚園をふくむ学校に看護師などを置くための補助(医療的ケア看護職員配置事業)があり、これを使って看護師を置いている園もあります。
ただし、私立幼稚園が多いため、受け入れるかどうかは園ごとの判断になることが多いのが実情です。都道府県や市区町村が、私立幼稚園の障害のあるお子様の受け入れに独自の補助をしているところもあります。
なお、3歳から5歳のお子様の保育園・幼稚園・認定こども園の利用料は、2019年10月から無償化されています(給食費などは別)。
園と一緒にじゅんびすること
受け入れが決まったあとも、園とご家族ですり合わせることがたくさんあります。
- 主治医の意見書や指示書(どんなケアが、どのくらい必要か)
- 体調が悪いときの連絡や、お迎えの決まり
- 看護師がお休みの日の対応
- 行事やお散歩、プールのときのケア
- 緊急時の病院と、救急搬送のときに伝えること
お子様のことを伝える「サポートブック」があると、話し合いがスムーズです。くわしくは「サポートブックの作り方・あずけ先に伝わる書き方」で紹介しています。
また、児童発達支援などの専門職が保育園や幼稚園を訪ねて、先生にかかわり方をアドバイスする「保育所等訪問支援」というサービスもあります。園でのすごし方に不安があるときは、相談支援専門員に聞いてみてください。
相談の順番
- まず市区町村の保育課(幼稚園なら幼稚園や教育委員会)に「医療的ケアがあるが、入園の相談をしたい」と伝える
- 主治医に、園で必要なケアや注意点を書いてもらう
- 受け入れ実績のある園を教えてもらい、見学する
- 入園の申し込みと、園・自治体との話し合い
入園の申し込みは、多くの市区町村で前の年の秋ごろに始まります。医療的ケアがあると、話し合いや審査に時間がかかることがあるので、早めに相談を始めると安心です。
どこに相談すればよいかわからないときは、都道府県の医療的ケア児支援センターも力になってくれます。くわしくは「医療的ケア児支援センター一覧・47都道府県の相談窓口」をご覧ください。お仕事との両立については「障害児の親が仕事を続けるには?使える支援と働き方」でもまとめています。
さいごに
医療的ケアや重い障害があっても、園に通う道は少しずつ広がっています。ただ、受け入れのしくみは市区町村や園によって大きくちがうので、「うちの地域ではどうか」を早めに確かめることが大切です。
園が決まるまでのあいだや、園がお休みの日のあずけ先も、あわせて考えておくと安心です。あずけさき手帖では、お住まいの地域の施設をさがせます。
※制度や受け入れの条件は、年度や市区町村、園によって変わります。くわしくはお住まいの窓口でご確認ください。