障害児のおむつ代の助成・日常生活用具と医療費控除
更新日:
はじめに
お子様が大きくなっても、おむつが毎日いる。たんの吸引のために、吸引器がいる。おふろに入れるのも、大人がひとりでは大変。重い障害のあるお子様を育てていると、毎日の生活で使う道具のお金が、少しずつ、でも確実にかさんでいきます。
じつは、こうした道具の中には、市区町村から給付(ものやお金をもらえること)や助成を受けられるものがあります。この記事では、「日常生活用具給付等事業」というしくみと、おむつ代の助成、そして税金が少し戻ってくる「医療費控除」について、やさしくまとめました。
日常生活用具給付等事業とは
日常生活用具給付等事業は、障害のある方やお子様が、家での生活を少しでも楽に、安全にすごせるように、道具の購入にかかるお金を助けるしくみです。
この事業は、国が決めた大きなわくの中で、市区町村が中心になって行っています。そのため、次のことは住んでいる市区町村によってちがいます。
- どんな道具が対象になるか(対象品目)
- 何歳から使えるか、どのくらいの障害の重さが必要か
- いくらまで出してもらえるか(基準額)
- 自分で払うお金(自己負担)がいくらか
国の考え方では、対象になる道具は大きく6つのグループに分かれています。
- 介護・訓練を助ける用具(特殊寝台=介護用ベッド、特殊マットなど)
- 自分で生活することを助ける用具(入浴補助用具など)
- 家での療養を助ける用具(電気式たん吸引器など)
- 情報や会話を助ける用具
- 排せつを助ける用具(ストーマ用品などの衛生用品。紙おむつをここに入れている市区町村もあります)
- 小さな住宅改修をともなう用具
自己負担について、国は「市町村の判断による」としています。たとえば、「原則1割を負担、ただし住民税が非課税のご家庭は負担なし」という市区町村もあります。基準額をこえた分は、全額ご家族の負担になることが多いです。
吸引器・入浴補助用具・介護用ベッドなど
重い障害や医療的ケアのあるお子様のご家庭でよく使われるのが、次のような道具です。
- 電気式たん吸引器:たんを吸い取る機械
- 入浴補助用具:おふろ用のいす、すべり止めなど、入浴を助ける道具
- 特殊寝台:高さや背もたれを変えられる介護用ベッド
- 特殊マット:床ずれを防ぐためのマット
これらも、障害の種類や重さ、年齢の条件が市区町村ごとに決められています。たとえば、たん吸引器は「6歳以上」と年齢を決めている区もあれば、ちがう条件の市もあります。「うちの子は対象かな?」と思ったら、まず窓口で聞いてみるのがいちばんの近道です。
また、小児慢性特定疾病(子どもの長く続く特定の病気)の医療受給者証を持っているお子様には、障害者手帳がなくても使える「小児慢性特定疾病児童日常生活用具給付事業」がある市もあります。障害福祉の制度で対象にならなかったときは、こちらも確かめてみてください。
大切なのは、買う前に申請することです。先に買ってしまうと、あとから申請しても対象にならないことがほとんどです。
おむつ代の助成・紙おむつの給付
おむつについては、「紙おむつを家に届けてくれる」「おむつ代の一部を出してくれる」など、市区町村によってやり方がちがいます。日常生活用具の一つとしている市もあれば、市の独自の事業として行っているところもあります。
多くの自治体で、「3歳以上」という年齢の条件があります。小さいうちは、障害のあるなしにかかわらず、どのお子様もおむつを使うからです。そのうえで、次のような条件が加わることが多いです。
- 身体障害者手帳や療育手帳の等級(たとえば身体障害者手帳1級・2級など)
- 障害児福祉手当などの手当を受けていること
- 住民税が非課税のご家庭であること
- 医師の意見書で「いつもおむつが必要」とわかること
実際の例をいくつかあげます(2026年11月時点で各自治体のページを確認したものです)。
| 自治体 | 年齢 | おもな条件 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 東京都港区 | 3歳以上65歳未満 | 身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1〜3度など | 紙おむつの支給、または入院中のおむつ代助成(月12,000円まで) |
| 東京都大田区 | 3歳以上65歳未満 | いつも紙おむつが必要で、障害児福祉手当などを受けている | 紙おむつの支給 |
| 大阪府箕面市 | 3歳以上 | 身体障害者手帳1・2級、住民税非課税世帯など | 紙おむつの給付(月4,400円まで) |
このように、同じ「おむつの助成」でも、条件や金額は大きくちがいます。手当の条件がある場合は、手当の手続きもあわせて確かめておきましょう。くわしくは「特別児童扶養手当と障害児福祉手当の違い・もらえる条件」をごらんください。
おむつ代は医療費控除の対象になることも
医療費控除は、1年間に払った医療費が一定の額をこえたとき、確定申告をすると税金の一部が戻ってくるしくみです。
国税庁の考え方では、おむつ代も、次のような場合に医療費控除の対象になります。
- 病気などで、おおむね6か月以上寝たきりの状態である
- 医師の治療を受けている
- 医師が書いた「おむつ使用証明書」で、治療のために必要なおむつだとわかる
高齢の方の場合は、介護保険の書類で代わりにできるしくみもありますが、お子様は介護保険を使わないので、主治医に「おむつ使用証明書」を書いてもらうのが基本になります。
おむつ使用証明書は、確定申告のときにつけるか、見せることになります。おむつを買ったときのレシートも、捨てずにとっておきましょう。お子様の状態が条件に合うかどうかは、主治医や税務署に相談してください。
さいごに
おむつや吸引器などの道具は、毎日のことだからこそ、少しの助成でもご家族の負担はかなり軽くなります。
- まず市区町村の障害福祉の窓口で「日常生活用具」と「おむつの助成」について聞く
- 買う前に申請する
- おむつ代は、医療費控除の対象になるか主治医に相談する
この3つを覚えておくと安心です。相談支援専門員がいる場合は、いっしょに確認してもらうのもよい方法です。
道具の準備とあわせて、お父様・お母様が休める時間も大切にしてください。あずけさき手帖では、お住まいの地域の短期入所や日中一時支援などの施設をさがすことができます。
※制度や金額は、年度や市区町村によって変わります。くわしくはお住まいの窓口でご確認ください。
出典:
- 厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html
- 国税庁 質疑応答事例「おむつ代についての医療費控除」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/54.htm
- 港区「紙おむつの給付・おむつ代の助成」 https://www.city.minato.tokyo.jp/kenko/fukushi/shogaisha/nichijosekatsu/kamiomutsu.html
- 大田区「紙おむつの支給」 https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/fukushi/shougai/seikatsushien/otetsudai/otetsudai/kamiomutsu.html
- 箕面市「その他の用具の給付」 https://www.city.minoh.lg.jp/syougaifukushi/annai/sonotayougu.html
- 中央区「日常生活用具の給付」 https://www.city.chuo.lg.jp/a0023/kenkouiryou/shougaishafukushi/shienservice/hosougu/yogu.html
- 千葉市「日常生活用具の給付」 https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/jiritsu/nichigu.html
- 江戸川区「日常生活用具の給付(内部障害)」 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e041/kenko/fukushikaigo/shogaisha/service/seikatsu/yogu/kyufu/naibu.html
- 仙台市「小児慢性特定疾病児童日常生活用具の給付」 https://www.city.sendai.jp/kodomo-chiiki/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/teate/yougu.html